最新のスクワットの正しいフォームは膝を出す

数年くらい前からスクワットは「膝を出さないようにー」とか「膝を痛めますよー」とか言うよになりました。これ全部間違いです。今でもGoogleで検索すればお尻を引いて、膝を出さないようにしましょうと書いてあるサイトが多いと思います。しかしスクワットにとって膝が出る出ないということは実は大きな問題ではなく、重心の位置が変わらない事が最も重要になります。

ではまず正しいスクワットの方法を解説していきます。

方法はシンプルです。重心をMidFoot(足の裏の真ん中)に保ったまま真下にしゃがんでいきます。大腿部(太もも)と腓腹筋(ふくらはぎ)が触れるまで。たったのこれだけです。またこのスクワットの事をATGスクワットと言います。

ポイントは2つ

①腰椎をニュートラルに保つ

以前のブログでも説明していますが腰を安全に保つための必須項目です。

②つま先に体重を乗せない

かかとを浮かして母指球でふんばりたくなると思いますが我慢しましょう。重心はMidFootに保ちます。かかとが浮くとそれはただの蹲踞(そんきょ)です。

🟨MidFoot(重心)

🟦つま先と膝の位置関係

下腿(膝から足首まで)の長い人はつま先よりも大きく膝が出る人もいます。私は短いのでちょうど同じ位置になっています。繰り返しになりますが🟨MidFoot上でスクワットをすることが重要でありつま先と膝の位置関係は矢状面上(横から見た時)は全く重要ではありません。前額面上(正面)から見た時(下図参照)はつま先と膝は同じ向きである必要があります。

※深くしゃがんでも膝のケガのリスクは上がらないと今は言われています。また重心をMidFootに保たれていれば膝がつま先よりも前に出ても同じくケガのリスクは上がらないと言われています。またつま先に対して内側や外側に膝が向くと膝を痛めますので要注意です。

ここから本題です。タイトルにある“ハムを使うな”についてです。

あくまでスクワットで使うべき筋肉は大腿四頭筋(ももの前)と大臀筋(お尻)実はこの2つなんです。この2つの筋肉を鍛えたい時に行うトレーニングがスクワットです。タイトルにあるようにハムストリングス(ももの裏)は使いません。

・なぜか?

筋肉の収縮様式にはConcentricContraction(縮みながら力を発揮する)とEccentricContraction(延びながら力を発揮する)とCo-Contraction(同時に収縮する)の3つがあります。少し筋トレに詳しい人はネガティブ局面(しゃがむとき)がエキセントリックでポジティブ局面(立ち上がるとき)がコンセントリックで覚えていると思います。

答えは相反抑制です。

筋肉には相反抑制といって収縮している筋の反対側が弛緩する作用があります。またスクワットなどの地面が足に触れている状態をClosedKineticChain(クローズドキネティックチェーン)と言います。この状態CKC時には二関節筋は抑制されるという作用があります。二関節筋とは2つの関節をまたぐ筋肉です。この場合は股関節と膝関節になります。したがってATGスクワットの場合は上体を起こして深くしゃがみ込むことによりモーメントアーム(重心と膝までの距離)が長くなり大腿四頭筋が優位に働きます。結果として二関節筋であり大腿四頭筋の拮抗筋でもあるハムストリングスは抑制されます。ハムストリングスが抑制されたことにより同じ作用を持ち単関節筋である大臀筋がより優位に働き、股関節を伸展させ立ち上がっていきます。ハムストリングスをエキセントリック収縮させ負荷をかけてしゃがむわけではありません。遠位にあるハムを優位に活動させてしまうと大臀筋をうまく働かせることが出来なくなりケガの原因になる可能性もあります。

動作途中

🟨活動 :大腿四頭筋(外側広筋、内側広筋、中間広筋)、大臀筋

🟦弛緩 :ハムストリングス

ハムストリングスをトレーニングしたい時はまた別のエクササイズを行いましょう。またスクワットはボトムポジションでは大腿四頭筋が抑制されハムストリングスが活動し頸骨(すねの骨)が前方に滑り前十字靱帯へ負荷を軽減させます。この作用により膝のケガを防いでくれています。本当に良くできていますね。

ボトムポジションからの切り返し

🟨活動:ハムストリングス

🟦抑制:大腿四頭筋

なので結論としてはメインは大腿四頭筋と大臀筋ですが動作を切り返す瞬間はハムを使います。と言ったところです。動作局面や関節角度、重心の位置によって使う筋群は変わっていきますので今後も細かく解説していきます。

今回紹介したATGスクワットにはヒップアップやダイエット、スポーツのパフォーマンスアップの効果があります。詳しくはまたの機会に。

フォームが不安な方はオンラインコーチングにお申し込みください。

引用 スターティングストレングス 著マーク・リプトー,NSCA JAPAN
Volume 19, Number 7, pages 16-24,closed kinetic chainのバイオニクス研究 河村顕治ら

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